第二夜
こんな夢を見た。
遠くで教会の鐘の音がしている。日曜日だった。
俺は自分の部屋のベッドの中で、朝の空気と隣り合って眠っていた。
上の妹が俺を起こしにきて、起きないのを悟ると出ていった。
俺には、起きたくても起きられないわけがあった。
俺は、あとすこしで自分に変化が起こるだろうということを知っていた。
枕の下に手を差し入れると、思ったところに、たしかにそれはある。
…あれば安心だから、俺は手を引き抜いて、再びシーツの中へと戻した。
シーツの中には俺の熱が籠もっていて暑い。
変化を起こそうと俺は体を揺すり、吐息を洩らした。シーツの中はそんなものでいっぱいだ。
今度は親父が、俺を起こしに来た。
「まだ起きないのか」
父親は言って、悪戯小僧のような笑みを浮かべている。
「不器用なやつだ」
親父は俺のことを知っている。俺と親父は秘密の共有者だ。
俺はシーツから顔を出してにやりとした。親父も俺ににやりとして、部屋を出ていった。
お前ももう変われという言葉を残して、それは、次に彼に会うときには変化していなければ
ならないということだった。
俺は変わらなければならない。変わらなければ死ぬしかない。
俺以外誰もいない部屋で、俺は再び枕の下に手を入れる。
引き出すと、黒光りするコルトが顔を覗かせる。
俺は銃身をゆっくりなぞりながら、きちんと珠が込められている事を確認する。
いつでも発射できる状態の銃の引き金に指を掛けながら、次に家族の誰かが
起こしにくるまでに覚醒出来なければ、このコルトで頭を打ち抜こうと決めた。
俺は銃を、手の中で暫らく弄んだ。体の血が銃を持つ右の手首へと流れてきて、
握っているグリップがにちゃにちゃする。
俺の手に馴染むそれは、本当は俺の一部だった。
銃を枕元において、俺は再び変革に向かった。
奥歯を強く噛み締めた。また熱い息がシーツの中に篭る。
汗がじわりと背筋を濡らし、湧き上がってくる痛みに耐えた。
もう少し、もう少しで…。
部屋のノブが回った。
はっと思った。右の手をすぐに銃に掛けた。
遠くで教会の鐘の音が聞こえた。
→ひとりえっち。
第二夜の読解はそうやってなされた。
裏におけっちゅう話…。すみませ…。
モドル