第八夜



 ぼんやりと窓の外を眺めていた。

 音楽学校の教室の、窓際の俺の席から。

 窓から見えるのは校舎と校舎の間の、ほんのちいさな青空と、校庭へと続く
 道の芝生だけだった。

 陽光が、芝生をまだらに染めていた。

 その中を、金の長い髪を揺らして、ミハエルが歩いていった。

 日の光が差すところへ差し掛かるたび、きらりきらりと金線が踊った。

 ミハエルの隣には青い髪の日本人がいた。ゴーセイバだ。

 ゴーセイバは10歳の大きさのままだった。

 彼らの姿が見えなくなると、へスラーが通った。

 プリントを大量に抱えて、危なっかしげに本館へと歩いていく。

 隣には淡い茶色の髪の少女が、やはりプリントの束を抱えて歩いていた。

 俺はヘスラーに彼女ができたことを知らなかった。

 次に見えたのは、シュミットとエーリッヒだった。

 二人は何かをしきりに話し合っていて、シュミットがエーリッヒの半歩先を歩いていた。

 突然立ち止まったシュミットが、不意打ちにエーリッヒに触れて、そのまま逃げるように駆け出した。

 エーリッヒは一瞬動きを停止し、すぐにシュミットの後を追いかけて行った。

 空が曇ってきた。

 重く垂れ込めた暗雲が青空を覆うと、白い結晶が舞い降りてきた。

 ゆっくり、ゆっくり、世界は白く侵食されていった。

 窓ガラスにぺたぺたと結晶が張り付いて、俺の視界を奪っていった。

 結晶の隙間から緑が見えた。青が見えた。空色や茶色や紫やハシバミ色が。

 俺は窓の外を眺めていた。

 俺が外を見ている間、音は全くしなかった。



 これはもはやパロディではない…。
 改造しすぎて話がぜんぜん違う…;;;
 まぁそんな夜があってもいい(殺)



モドル