豪の姿を探して、風鈴川の土手へとやってきた3人。

烈「気に食わないことがあると、あいつよく
  この辺りで水切りとかしてるんだけど…」


 土手をゆっくりと見回す烈。
 その赤い目が、土手の芝生の上に寝転がっている
 一人の少年をとらえる。

烈「あれは…トン君?」

ブレット「ああ、トンのようだな」

 寝転んでいたトンが、烈たちの気配に気づいて
 上体を起こした。
 3人に手を振る。
 3人は、トンに近づいた。

トン「やあ、ニーハオ」

烈「おはよう」

ブレット「ああ」

エッジ「何やってんの、こんなところで?」

トン「寝転んで、雲を見てたんだよ」

烈「雲?」

トン「うん。この場所が好きなんだ。
   晴れた日には、よくここにきて、
   こうやって寝転んだり、本を読んだりしてる」


エッジ「楽しいのか?」

トン「うん。落ち着くんだ」

ブレット「確かに、気持ちのいい場所だが」

トン「でしょ?
   ときどき、豪君とかも見かけるよ」

烈「そうだ、豪!
  トン君、ここに豪のヤツ来なかった?」


トン「今日は見てないよ。
   どうしたの、探してるの?」


烈「うん、あいつ、ブレット君にマグナム突き刺して、
  謝りもせずに逃げたんだ。だから、捕まえて
  とっちめてやるんだ」

トン「…刺さったの?」

ブレット「ああ、額にぐっさり」

トン「そんな傷は…見えないけど」

ブレット「ああ、もう治った」

エッジ「早ッ;;

トン「すごい自己治癒力だね」

ブレット「まぁな」

烈「地球が滅んでも、君だけは生き抜きそうだよね」

トン「あははは。でも、J君やFOX3なんかも生きてそうだよ」

烈「当たり前だよ、その人たち有酸素動物じゃないし」

エッジ「!?」

トン「その上両生類かもね」

ブレット「俺もエラ呼吸できるぞ」

エッジ「??!!!!?」

烈「知ってるよ。何を今更」

エッジ「俺知らなかったよ??!」

トン「あはははは。僕は肺に一切頼らない
   皮膚呼吸がやっとだな」

烈「あはははは、人間外生命体としては十分じゃないの?」

エッジ「………;;;」

 エッジは、この不思議生命体たちから逃げ出したいと
 痛切に考えている自分自身を発見した。
 なにしろ、彼らの会話とエッジとの距離は約230万光年。
 それはあの有名な大星雲、アンドロメダと地球との隔たりだった。
 そこまで離れていると、まず、コンタクトが取れない。

トン「そのうち分身の術を覚えたいんだけど」

烈「ああ、それならユーリ君が一歩手前まで習得してるって」

ブレット「俺もうかうかしてられないな…」

エッジ「だあああああっ!!!
    そんなことはどうでもいいだろっ!!!
    ゴーを探すんじゃないのかっ!」


烈「ああ、そうだったね」

エッジ「…冷めてるなレツ…」

 なんだか一気に脱力してしまったエッジ。

エッジ「っと、うわ…?!」

 ふらりと足元がぐらついた。
 足元は緩やかな坂道、しかも摩擦抵抗の低い芝。

エッジ「って、うわ、ま、マジでっ…??!」

ブレット「エッジ!!」

エッジ「うわあああっ!!!」

 バシャアアアンンッ!!

 川へダイブしてしまったエッジ。

エッジ「……サイアク…」

ブレット「大丈夫か」

 エッジに手を貸してやって、
 川から引き上げる。

エッジ「サンキュー☆」

ブレット「すぐに宿舎に帰って、着替えた方がいいな。
     風邪を引く」


エッジ「あいあい。俺も、びしょ濡れのまま街を
    歩き回るような趣味はしてないからな」


ブレット「そういうわけで、俺たちはここでリタイアだ。
     一緒にゴーを探したかったが…」


烈「いいよ別に。君たちがいてもいなくても変わらないから」

トン「なかなか厳しい意見だね」

烈「それに、豪ならおなかがすいたら家に帰ってくるしね」

ブレット「こいつは最後までゴー探しに付き合えなかった
     お詫びにでも取っておいてくれ」

烈「いいよ、別に。元々豪が君にマグナムを突き刺したのが悪いんだ」

エッジ「(…ハタから聞くとすごい台詞に聞こえるよな…)」

ブレット「まぁそう言うな。せっかくお前たちが載ってるんだしな」

烈「…そこまで言うなら貰っておいてあげるけど」

 ブレットレツゴートレーディングカード(TRFビクトリーズ)を渡した!

トン「僕も一緒に帰ろうかな。そろそろポンやリーチがなにか
   面倒ごとを起こしていても不思議じゃない時間が経っちゃったし」

ブレット「よし、帰るか。じゃあな、レツ・セイバ」

烈「うん、またね」



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