WERE
珍しいこともあるんだなって、思った。
お前から抱きしめてくれと言うなんて。
そっと抱きしめたらお前の方が強く抱き返してきた。
どうしたんだって聞いたら。
キスしてくれって、強請った。
珍しいんだな、そう言って。
優しく口付けた。
お前はそっと目を閉じて、微かに頬を上気させた。
キスが終わったら、ゆっくりと目を開いて。
私を、私だけをその澄んだ瞳に映した。
そうして、我が儘でしょうと自嘲した。
我が儘というにはあまりにも些細なそれ。
だから、ことさらに愛おしいと思った。
お前に倣って強く抱きしめて。
このくらいのことならいつだって聞いてやるって言ったら。
嬉しそうに笑って。
寂しいんだって、呟いた。
どうして切なくなるのかな…(大汗)。
モドル