雨宿りと。



雨が降っていたから、どうしようかと思った。

結構強い雨。朝は振ってなかった。

油断したかな、ちょっと溜息。

止むのを待とうか、でも通り雨じゃない。

雨足が弱まるのを待とうか、やっぱり逡巡。



僕はいつもこうだった。

何をするに付けても、悩んで、留まって、賢いふりしてただの臆病者。

慎重なんじゃなくて恐かった。

ただ一歩を踏み出す勇気を持たないだけで。

持てないだけで。

だから、誰かに「頭がいいね」といわれる度、僕は自嘲と自分への侮蔑で自分を虐めた。

僕の周りの言葉は、全部鋭いナイフ。

ガラスの破片みたいに小さくて、くい込んでなかなか取れない心の中。



立ち止まってる僕の横を、簡単に追い抜いた黒い影。

雨の中でくるりと僕を振り返って、笑った。




「たまには濡れて帰るのも悪くないだろう?」



手を差し伸べて、僕を促す。

貴方は決断が早い。

僕とはあまりに違って、それが羨ましかった。

何処でも貴方は輝ける。






そして。

いつか、別れるときが来ても、きっと、貴方は。




僕より早く、貴方の道を進んで行くんだ。

貴方は振り返らないから。






ナチュラルネガティブ?


モドル