「俺、誰か他のヤツがリーダーの方が良かった!!」

 ニエミネンが叫んだ一言は、意外と殺傷能力を持っていて。


 
リーダー




 ワルデガルド・ダーラナ(12)は傷付きやすかった。
 人並み以上、ということはないだろうが、些細なことで思い悩んでしまうことも手伝って、意外とよくヘコんでいる。
 彼のよき相棒(多分)であるヨハンソンはそれをよく知っていた。だからいつも彼を慰めて支えてやらないといけないと思っていた。
 だが非常に残念なことに、彼は慰め下手だった。

「……………」
「……………」
「……えー…人生というものはそもそも挫折と失敗の上に築かれていくもので……」
「…………ああ、ありがとうヨハンソン。君の心遣いにはいつも感謝してる…」

 ベッドの上で膝を抱えて壁を向いてしまっているワルデガルドに語りかけていたヨハンソンは、一応の返事が返ってきたところで話を止めた。
 リーダーである彼が一人で使っているWGP宿舎の部屋は彼らしく綺麗に片付いていた。
 机の椅子に腰掛けているヨハンソンは、ふぅ、と一つ溜め息を吐いた。

「……ニエミネンも、本気じゃないと思う」

 ニエミネンはよく勝手な行動を起こす。そして、それを咎めるのは主にリーダーであるワルデガルドの仕事になる。もちろん監督であるバタネンや、華麗なるツッコミ役であるジャネットも手伝ってはくれるが、どうしたって不満はリーダーに向かう。
 だから、ニエミネンが指した「リーダー」は特にワルデガルドを指していた訳ではない。
 他の誰かがその座に収まっていたら、その誰かを責めたに違いない。
 ワルデガルドもそれは理解していた。
 しかし、彼を落ち込ませていたのはそれだけではなかった。

「…ああ。…いいんだ。俺は自分でもリーダー向きじゃないと思ってるし」

 ははは、と乾いた笑い声を立てた背中を、ヨハンソンは眉間に皺を刻んで見つめた。

「…お前こそ、本気で言っているのか?」
「…本気。意外と」

 くるりと振り返って笑った済んだ緑色の瞳には、確かに冗談の気配はなかった。
 元々、不器用なところのあるワルデガルドに、こんな気の利いた冗談など言えるはずもない。

「……譲ろうか。君にでも、誰にでも。「リーダー」をさ」
「馬鹿なことを。このチームで一番速いのはワルデガルド、お前だぞ」
「ああ。でも、俺たちのチームは別に、俺が速いからって理由で纏まってるわけじゃないだろ?」

 確かに。
 便宜上、一番マシンのスピードやバランスが優れているワルデガルドがリーダーに掲げられているが、速くなければリーダーとして認めないかと言われればそうでもない。
 ニエミネンは多少ゴネるかもしれないが、コースアウトばかりしている彼にはリーダーは任せられないと言い切れば、不承不承ながらにも納得するだろう。

「中盤や後ろから、チームを見つめてフォーメーションの指示を出すってのもアリだ。だったら別に、俺がリーダーじゃなくてもいい」
「………それではまるで、逃げ出したいように、聞こえるぞ」

 そうかもしれない。
 ワルデガルドは心中で思って苦笑した。
 「リーダー」は重い。
 例えチームメンバーはそうは思わなくても、全ての敗戦の記憶はリーダーには人一倍重く圧し掛かる。
 もしあそこで俺がもっと早く指示を出していれば。
 もっと早く、走れていたら。

「……びっくりしたんだ」
「………なに?」

 突然何の脈絡もないことを口にしたワルデガルドに、ヨハンソンの反応は遅れた。
 ワルデガルドはこころもち頭を持ち上げて、斜め上の虚空を見上げていた。

「北欧選手権 個人の部で優勝したときに、ああ、俺は北欧のチャンプになったんだーとは思ったけどさ。オーディンズって北欧代表チームの、リーダーになってくれって言われた時に。正直、冗談だと思った」

 淡々と綴られていくワルデガルドの言葉を、ヨハンソンは黙って聴いていた。

「今日はエイプリルフールじゃないよなぁって確かめようとしたら、肩にぽん、って手が置かれてさ。「よろしく頼むよ」って言われた。それでも、その日は信じられなかったんだ。夜ベッドに入って、朝起きたら全部夢になるんじゃないかって、半ば本気で思ってた」

 ははははは。
 もう一度、ワルデガルドは乾いた声で笑った。
 それから視線を薄青の絨毯の敷かれた床に落とした。
 口元には薄く笑みが張り付いていたが、ヨハンソンにはひどく穏やかな微笑みに見えた。

「……バタネン監督に相談してくるよ」

 ひょいとベッドから足を下ろして靴を履いたワルデガルドに、ヨハンソンはどう声をかけていいか判らなかった。

「ありがとう、ヨハンソン。馬鹿な愚痴を聞いてくれて」

 部屋を出る前に掛けられた言葉は、口先の感謝ではなかった。







「んー? 別にお前らが構わないんだったらそれでええが」

 部屋で一人、柚子ういろうを楽しもうとしていたバタネンは、突然の訪問者にしぶしぶ自分のおやつを切り分けながら彼の相談を受けた。
 渋い目に入れた日本茶とういろうが、最近のバタネンのマイブームだった。
 そのお茶をズズズ、とすすりながら、
 そりゃぁリーダー交代となったら作戦も一から練り直しだしフォーメーション練習も切り替えなきゃだしFIMAへの面倒くさい手続きとかもあるけれど。
 等と考えながら、それでもバタネンはできうるかぎりレーサーたちの希望は通してやりたいと思う監督だった。
 ………それが、オーディンズの全レーサーたちが本当に願うことならば。

「しかしワルデガルド、ほんまにそれはお前たち全員の意思か」
「………いえ、まだ俺とニエミネンの意見だというだけですが。これからすぐに、他のメンバーにも了承を得てきますから」

 自分の茶菓子を口に放り込んでもぐもぐしながら、バタネンはふむ、と頷いた。

「じゃ、全員の了承が得られたらもっかい来い」
「…はい。ありがとうございました」

 一礼を忘れずに出て行ったワルデガルドをのんびりと見送って、バタネンは青春でんなぁ、と呟いた。
 そうしてワルデガルドが手をつけなかったういろうをぱくりと食べた。








「はァン? なんでよ」

 見るから胡散臭そうに顔を顰めながら、ジャネットはワルデガルドに言葉で詰め寄った。
 マルガレータは外出しているらしく、女子二人で使っている部屋ではベッドの上に寝転がったジャネットが、一人でファッション雑誌に目を通しているところだった。

「いや……ほら、今日の練習走行のときにニエミネンが言ってただろ…?」

 ワルデガルドは彼女の剣幕が得意ではない。
 タジタジと防戦の様相を呈しながら、リーダー交代の説明を試みる。

「はぁ? アンタ、あの子の言った事気にしてるっていうの?」
「………ああ」

 突然、はじかれたようにジャネットは笑い出した。ごろごろとベッドの上を転がりながら笑い続けるジャネットを、ワルデガルドはぽかん、と眺めている。
 仰向けで止まったジャネットは顎を上げてワルデガルドを見、目の端に浮かんだ涙を拭いながら、バカじゃないの、と言った。
 ……真剣に悩んでいたのに馬鹿はないんじゃないだろーか。
 ワルデガルドの反論を遮るように、口を開きかけた頭にぱふん、と彼女のまくらが投げつけられた。そんなに強い力で投げられた訳でもないそれを、それでも律儀に顔面で受け止めてから両手で落ちないように抱えたワルデガルドに、ジャネットはアンタさぁ、と言った。

「自分に自信なさすぎだとか思ったことないワケ?」
「自信?」

 確かにジャネットからは自信というものがあふれ出してその辺りで大洪水を引き起こしているが。
 ワルデガルドは生憎ジャネットとは正反対に、自分に自信を持っていいのかどうか判らないタイプの人間だった。
 もちろん、北欧一であるという誇りは持っている。ミニ四駆にかけては自信も持っているつもりでもある。
 だが、その自信はどうしても、WGPでチーム成績が下位であるという事実の前に脆かった。

「そーよ。アンタ鏡見たことある? 結構いいセン行ってるのよ。でも、アンタが自分に自信を持たないから。だからいっつも貧乏くじ引いてダッサい結果に終わってるのよ」

 むくりと起き上がって緩いウェーブの懸かった銀の髪をかきあげながら、ジャネットはさくりさくりと痛いところを指摘していく。
 ジャネットの台詞は落ち込んでいる者には痛いことが多い。
 生傷を開かされてそこに荒塩を擦り込まれる気分にされる。
 ワルデガルドは頬の辺りが引き攣るのを感じながら、必死で笑みを形作った。

「…でも、俺よりもヨハンソンのほうが上手くチームを纏めてくれると思うんだ」

 受け取ったまくらを彼女の腕の中に投げ返す。ジャネットは上手に受けてまくらをベッドの上に適当に放ると、立ち上がってワルデガルドの傍まで歩み寄った。

「そーお? どっこいだと思うわよ。アレはアレで前線に出るタイプじゃないもの。あーゆーのは後方支援タイプ。判る? 判ってるでしょ? ん?」

 ぱし、ぱし、ぱし、といいリズムでワルデガルドの頭を扇子で叩きながら、ジャネットはワルデガルドのJa、の返事を聞く。
 ふふふ、とふいに、ジャネットは軽く笑いだした。
 なんだろう、と思ってワルデガルドが目線を上げると、思いもかけず優しげに笑っているジャネットと目が合った。
 気恥ずかしくてすぐに逸らしたのはワルデガルドの方で、ジャネットはだからアンタなんじゃないの、と言った。

「別にアタシがリーダーでもいいけどさ。でもアタシは完璧にストレート専門だし。マリーはヨハンソンと一緒。後方支援型だからリーダーには向かない。ニエミネンに至っては問題外。だからアンタがリーダーをやるしかないの。このチームでは」

 入り口で立ち尽くしたままの「リーダー」をよそに自分のベッドに戻り、ジャネットは両足を交互にバタつかせる。
 目線はワルデガルドの方を向いたまま。

「もうちょっと気楽に考えれば。アンタがリーダーだってのは、アンタが器だからってんじゃないのよ。消去法なんだから」

 そう考えたら、しかたなくない?
 それはそれで結構酷いことを言っていると解っているが、ワルデガルドはそうかな、と微妙に笑った。
 そうよ。とジャネットは柄にもなく弾んだ声で応えた。

「……アタシはさぁ。なんだかんだ言って、アンタの指示の元で走るの悪くないと思ってるんだから。アタシがそう感じるなんて珍しいのよ? アタシの性格から言うと判るでしょ」

 ああ、と答えてからしまった、と思う。
 その瞬間にはジャネットの愛用の扇子が彼女の手から離れていた。

「痛ッ…!」

 またも上手い具合に額で受けたワルデガルドに、ジャネットはあっはっはっはっは! とまた大きな声で笑う。

「アンタにはアンタなりのいいところいっぱいあるんだから。誰が認めなくたって、アタシは認めといたげるわよ」

 柄にもないジャネットの言葉に、ふいに涙が出そうになって、ワルデガルドは慌ててありがとう、と言って部屋を出ようとした。
 その背に、頑張れ、リーダー。と面白そうな声が追ってきた。









「私は、ワルデガルドがそれでいいならいいけれど」

 ちょうど切れていた修正液を買いに行くついでに、コンビニで軽くお菓子などを買い込んできたマルガレータは、丁度宿舎の入り口でワルデガルドと出くわした。
 ワルデガルドは軽く外の風に当たって頭を冷やしてこようと思っていたところだったのだが、丁度いいタイミングだったのでリーダー交代の話を彼女に持ちかけたのだった。
 マルガレータはいつもと変わらぬ、底の見えない微笑みを浮かべている

「でも、後悔しない?」
「しないと思う」

 答えたワルデガルドは視線を斜め下の方向に向けていて、マルガレータは床に向かうその視線を遮るように下から彼のアーモンドアイを覗き込んだ。

「本当に?」

 突然彼女の可愛らしい顔がアップになったことに驚いて、ワルデガルドは頭を引きながら、ああ、と言った。

「リーダーとして、貴方は、全部、出来ることをしたの? リーダー交代という手段以外に、ひとつでもまだチームが伸びるために出来ることをしていないのに交代するとしたら、私は貴方を二度とチームメンバーとして認められないわ」

 ワルデガルドの決定ならば反対しない、と言った割には強い反対のような風を感じて、ワルデガルドは何なんだよ、と呟いた。
 マルガレータは突然視線を逸らし、身を引いた。
 あさっての方向に視線を飛ばしてコンビニの袋を抱え込む姿は「悩みごとにふける可憐な美少女」を見事なほど演出していて、非常に胡散臭かった。

「…確かに、私がこのチームで走っているのは貴方がリーダーだからじゃないわ。でも、私がこのチームにいたいのは、このチームだからよ」

 いまいち意味が掴めず、首を傾げるワルデガルドに、マルガレータはくすくすと笑った。

「リーダーが交代しても、私たちは走るわよ。きっと、貴方がリーダーだった今と変わらずに。でも、最初に音を上げるのはニエミネンだわ」

 まさか、と一笑に伏そうとしたワルデガルドに、マルガレータはつぶつぶいちごポッキーを賭けてもいいわ、と言った。
 つぶつぶいちごポッキーはマルガレータの何よりのお気に入りだった。見た目とは裏腹にものごとには強い執着を見せることのあるマルガレータにとって、それを賭けの対象に持ってくるのはよほどの事かもしれなかった。
 だが、ワルデガルドはやはり、どこか軽いんだよなぁと思わずにはいられなかった。

「ニエミネンは貴方をリーダーから下ろしてしまった罪悪感から、きっと真面目になると思う。模範的な走りを目指そうとすると思う。ああみえても結構、優しい子だから」

 知ってる、とワルデガルドは答えた。
 いい子、というようにマルガレータは目を細める。

「でも、それじゃあこのチームは勝てないの。あの子の今の走りもなきゃ勝てないの。今だって負け続けてるけど。でも、きっともっと勝てなくなるわ」

 それじゃあリーダー交代の意味がないわよね。
 マルガレータの言葉に、ワルデガルドは片手で顔を覆った。

「…どうかな。うちのチームの負けは八割がたあいつの走りが原因だから」
「そう。でも、そこをカバーしようって私たちいつも意気込んで走ってるわ。最初から4人のつもりで、4対5の戦いのつもりで挑んでるわ。だから粘り強い」

 ニエミネンに対して滅茶苦茶なことを言っているが、それが事実だけに庇えず、ワルデガルドは困ったように苦笑した。
 マルガレータは思い出して、とワルデガルドの瞳を真っ直ぐに見据えた。

「私たち、負けているけれども相手に楽勝させたことは少ないわ。いつも善戦してる。いつも僅差にまで詰め寄ってる」

 確かに、作戦の妙もあるだろうが、オーディンズには善戦が多い。あと一歩のところで勝利は逃すけれど、それは手を伸ばせば届きそうな。
 ワルデガルドは逃した勝利の感触を確かめるかのように、自分の掌を握ったり開いたりした。そこに視線を落として。
 マルガレータは穏やかに目を閉じた。

「それは、貴方の率いる今のオーディンズだからよ」

 ………もしかしたら、そうなのかもしれない。
 あと一歩。頑張れば、勝てるチームになるのかもしれない。
 俺が頑張れば。
 ぽん、と額に何かが当たった。視線を上げると、パイの実のパッケージが眼前にあった。

「プレゼント」

 にこりと笑ったマルガレータに流されてそれを受け取り、ワルデガルドはありがとう、と言った。
 当初の予定通り頭を冷やしに宿舎を出るワルデガルドにマルガレータが掛けた言葉は、やっぱり
「頑張って、リーダー」
 で。
 ワルデガルドは口元に浮かぶ笑みが押さえられなかった。








夕 食ぎりぎりに宿舎に戻ってきたワルデガルドが、結局食べなかったパイの実を置いていこうとした自室の前で見たのは、そこに座り込んでうとうとしている自称エースだった。
なにをやってるんだ、と思いつつ、彼を揺さぶり起こす。

「ニエミネン。こんなところで寝ると風邪を引くぞ」
「んー……あと五分……」
「寝ぼけるな。おい、ニエミネン!」
「んー……あぁ…? ………リーダー…? ………!!」

 は、と大きな目を見開いて、ニエミネンはワルデガルドの顔を凝視した。

「………なんだ?」
「リーダー!」
「だからなんだって」
「悪かった!!」
「……はぁ?」

 ついていけない、とマヌケな声を上げたワルデガルドをよそに、ニエミネンはヨハンソンに聞いたんだ、と言った。

「リーダー、リーダー交代するなんて嘘だろ? 俺、ワルデガルドがリーダーがいい! 昼間のは嘘だよ、俺リーダーに教えられて走るのが一番上手くいくんだ!」

 思っていたことを全部、大声で並べ立てたニエミネンは、激情の余り肩で息をしながら、涙すら浮かべていた。
 それを見て、ワルデガルドは、ああ、似ている、と思う。
 彼には祖国に、二つ年下の弟がいる。
 ちょうど、ニエミネンと同い年の。
 性格はもうすこし可愛らしいが、それでもどこか、似ている。
 一方的にけんかを仕掛けてきて、そのあとしょげかえった子犬のように落ち込んで、ごめんなさいと謝りに来る。
 ワルデガルドはそんなときに弟にするように、ニエミネンの頭をわしわしと撫でくり回した。

「ぅわっ、なにするんだよ!!」

 ハハハ、と楽しそうに笑って、ワルデガルドは立ち上がった。
 ぽかん、として見上げてくるニエミネンに手を差し伸べる。

「夕食だ。行くぞニエミネン」
「おう!!」

 元気な声を聞いて、それぞれの自室のドア影で聞き耳を立てていたメンバーたちが一斉に顔を覗かせる。

「待ってよ、ワルデガルド」
「私たちも行くわ」
「良いだろう?」
「みんな…」

 よし、行こう! というワルデガルドの声に、おう! と4人の声が返る。
 食堂の方向へと仲良く廊下に小さくなっていく背を見つめながら、バタネンはまた、青春でんなぁ、と溢れる涙を抑えながら言った、とか。

                                       <終>

 書くときめッちゃ悩んだのが、
 ヨハンソンの二人称(今回は「お前」)と、
 バタネン監督の方言(共通語+大阪弁←わけわからんことに…;;)
 だったりする。

 マルガレータをマリーと呼ぶのはどうかとも思ったのですが、マギーはスコティッシュだしなぁと。だからといってドイツ読みでグレーテル、とかいうのを使う気にはならない(それでは別人だ)。
 ……「マリー」だとマルエリの伏線にできないでもないなァという話(は?)

モドル