VERANLESSUNG





1「1996年5月25日(土)  ドイツ・ベルリン(曇) 14:13」

「54,02!」

 タイム係が、トップを走るマシンの周回タイムを高らかに告げた。

「0.03秒くらい、かな」

 現在2位のマシンを操る、銀髪の少年が呟く。
 風が、数台のマシンと共にコースを滑っていく。
 自分と同じ、赤いユニフォームがほんの少し前を駆け抜けていく。
 いつからか、それが普通になった。隣を走っていたはずの彼が、半歩前を走っている。
 エーリッヒがそれを追いかける。
 届かない差ではない。
 今は、未だ。
 だが、決定的になるのも、きっともうすぐ。
 エーリッヒはそれを予感していた。
 アイゼンヴォルフの宿舎内にあるコースでの練習は、毎週土・日に行われる。
 それ以外の日にも自主練習は認められていたが、ラップタイムを計るのは主にこの日だった。

「…行けッ!」

 ベルクマッセ2がコーナーでリーダー機と並ぶ。
 ちらりと、紫の瞳がエーリッヒの方を向いた。

「フォーメーション練習ではないとしても、随分積極的な走りをするな」

 ベルクマッセ2のコーナリングを見て、シュミットはにやりと口辺を笑みで歪めた。
 その視線が、エーリッヒの後ろをも映していることに気が付いて、エーリッヒは振り向く。
 エーリッヒの真後ろを、負けないくらいギリギリのチューンナップで走っていたのは、
 真っ黒の長い髪を一つに縛った少年。
 真っ直ぐにマシンとコースを見つめている、アイゼンヴォルフの現bR。ザックスだ。
 フォーメーションを崩すようなことはなかったが、普段から多少無茶な走りをする彼は、
 チームの中で多少の問題児でもあった。
 自分のペースを守って走り続けているアドルフとヘスラーは、それでもザックスと1秒離れずに付いている。
 エーリッヒは、高速コーナー、ストレートを通過し、テクニカルコーナーの連続する
 ポイントへ突っ込んでいく3号機を見ていた。バランスギリギリのものが見せる、
 魅惑に惹き込まれたかのようにその影を追っていたが、エーリッヒは一瞬後にははっとそのことに気が付いた。

「オーバースピードだ、ザックス!」

 叫んだ瞬間、テクニカル第2コーナーで遠心力の勝ったベルクマッセ3が、コースから弾かれて宙を舞った。
 カシャン、と床に当たって跳ね返ったベルクマッセを見て、ザックスが「あっちゃー」と言っているのを
 片耳に聴きながら、エーリッヒは再び視線を前方に戻した。
 シュミットは後ろを振り返らない。隣に立つ者にならば視線を投げることもあろうが、
 自分の後ろを走る者になど興味を示さない。
 エーリッヒは、コーナーでシュミットのマシンをほんの少し追い越した、自分のマシンに追い付いた。
 シュミットが楽しそうにエーリッヒを睨め付けていた。
 マシンはホームストレートに入っている。
 一瞬、エーリッヒの耳に3年前の歓声が聞こえた気がした。
 真っ直ぐにゴールを目指して走っていく、シュミットのマシンは黒くない。エーリッヒのマシンも青くない。
 だが、結果は3年前と同じだった。ゴールの2m前までリードしていたエーリッヒのマシンを、
 シュミットのそれがパスしてゴールラインをわる。
 ベルクマッセ2はコーナー重視、リーダー機はストレート重視のスピードマシンなのだから、
 直線で抜かれるのに何の問題もない。
 ないのだが。
 マシンのスイッチを切ったシュミットは、タイム係の方へと歩いていった。
 チーム全体の様子を確認するためだ。タイム係の、金茶色の髪の少年が嬉しそうにしている
 ところから見ても、悪くはないようだった。
 ふ、と息を吐いて、エーリッヒはシュミットの方へと向かった。ザックス、アドルフ、ヘスラーも同じ行動をとっている。

「どうですか?」
「悪くない」

 データの打ち込まれているパソコンのある机に片腕を付いて、入力係の横から画面を
 覗き込んでいたシュミットが言った。
 エーリッヒがその隣…入力係の後ろに回り込む形でデータを見た。
 先週よりも、皆0.1〜0.3秒、ラップタイムが上がっている。ただ、ザックスの所にだけは
 斜線が引かれていた。コースアウトによる計測不能の印だ。

「この調子なら、ヨーロッパ選手権はまた俺達の優勝だな」

 アドルフが、にやりと笑った。勝利を確信している言い方だ。

「油断をしていると足下をすくわれるぞ」

 ぱしりとシュミットが言った。
 アドルフは肩を竦める。シュミットの、他人をはねつけるような言い方は毎度のことなので、
 すでに慣れっこだ。

「してないぞ、油断なんて」
「…ならいい」

 2軍を含めての今日のタイムへの討論と反省が終わると、シュミットは全員に解散を言い渡した。
 もう少し、とマシンを持ってコースに戻る幾人かを残して、それぞれが各自の部屋へと移動を開始した。
 エーリッヒは、マシンを持ったままザックスを追いかける。今日の練習について、
 どうしても尋ねておきたかった。ただの練習であんな無茶をすることに、何の意味があるというのか。
 エーリッヒには判っていた。あれは故意のスピードチューンだ。
 テクニカルコースに突っ込めば吹っ飛ぶと、知っていてのセッティングだ。
 勝利を掴めないのも問題だろうが、完走できないことに何の意味があろう?
 階段へ向かう途中の廊下で、エーリッヒはザックスに追い付くことができた。

「どうしたんですか、ザックス。あんな無茶な走り…」
「ん? 俺らしくないって?」

 髪を縛っていたゴムをほどいて、ザックスはにっと笑った。

「…いえ、そんなことはありませんが…」

 むしろ、「らしすぎる」走りだった。だが、だからこそ訊きたかったのだ。
 元リーダーとしてのプライドがそうさせたのだろうか?
 いや、違う。絶対に。
 理由を問いただそうとするエーリッヒの真っ直ぐな瞳に、ザックスは、年長者らしい、静かな表情をした。

「お前達を、最後までに一回でも抜かしてみたいと思っただけさ」
「最後…?」

 エーリッヒは眉根を寄せた。確かに、ザックスは今年度でジュニアを卒業するが、
 シニアの部でまだ3年は走ることが出来る。シュミットやエーリッヒと、公式試合で走ることは
 出来なくても、いくらでもレースをすることは可能なはずだ。

「いや、俺アイゼンヴォルフ辞めるからさ」
「……、辞める…?」

 その告白を聴いて、エーリッヒは一瞬息を止めた。

「そんな。どうして急に」

 ザックスは、苦笑を浮かべて後頭部に手をやった。

「いや。俺、従弟が居るんだけどさ。病弱で、ヘッセンの方で転地療養してたんだ。
 でも、最近元気になってきて。良かったなって言ってたんだけど。…こいつが結構我が儘なヤツで」

 何から話せばいいのか、ザックスにもよく判っていなかったのだろう。おかしなところで説明の入る、
 落ち着いているくせにしどろもどろな説明を整理してみると、こう言うことだった。
 ザックスには、ヘッセン州で療養していた3歳年下の従弟が居る。その彼が、
 体の調子が回復してきたとたんに我が儘を言いだした。曰く、祖父の財や家を継ぐのは嫌だ、と。
 ザックスの祖父は、かなりの富豪だ。このドイツに遍く名を知られている最高の貴族でもある。
 祖父は、ザックスの従弟を非常に可愛がっていた。だから、彼の我が儘ならほぼどんなことでも
 通ってしまうらしい。だから、今回の我が儘も通った。いつでも気が変わったら家を継げるという
 条件の下で──それはもはや条件というものではないと、エーリッヒは思ったが──彼は、
 自由の身になった。その代わりの相続者として、ザックスに白羽の矢が立てられた。ザックスは、
 近いうちに祖父の家のあるミュンヘンに行かなければならない。近辺整理やらなにやらに
 忙殺されてしまっては、きっとミニ四駆を触ることもできなくなる。そんなことはどうしたって嫌だったが、
 これも運命だ。仕方がない、諦めるさ──。
 ザックスには、もともとさっぱりしたところがあった。どんなものにも、さしてこだわらない。
 だから、今回の件に関しても一人でさっさと決着を付けてしまったのだろう。

「それは、でも。貴方の意志は…」
「言っただろ。これも運命さ。ミニ四駆には充分楽しませて貰ったし、アメリカにも勝てたしな。
 それに…大金持ちになるチャンスだしな」

 からからと、何でもないことのように、ザックスは笑った。
 だけれど、エーリッヒは知っていた。ザックスが、このアイゼンヴォルフで一軍をキープするために
 どれだけ努力していたか。bRという位置にあっても、どれだけそれに誇りを持っていたか。

「ザックス」
「もう、何も言うなよエーリッヒ」

 自慢の黒髪を、ザックスは右手で弄びながら言った。

「俺、結構満足してるんだ。アメリカにも勝てたし、お前らとも充分に走った。だから」

 だから、辞めても悔いは無いというのか。
 そんなの。
 そんなの、嘘だ。

「それに、辞めるって言ってもそんなすぐじゃないぜ。あと2ヶ月くらいは一緒にいられるさ」
「……どうして、なにも言わなかったんですか。本来ならば、真っ先にリーダーに報告すべき事でしょう」

 顔を伏せたエーリッヒに、ザックスは苦笑した。

「そうなんだけどさ。ほら、シュミットって結構淡々としてるだろ? だから、なんとなくって言うか…」

 別に、シュミットが苦手というわけでもない。
 今のアイゼンヴォルフ一軍は、皆仲が良かった。
 だけれど、あえてリーダーより先に、bQである少年に話したのは。この、どこか憎らしげにさえ
 自分を見つめる少年に打ち明けたのは。

「…、シュミットなら、きっと理由は聞かない。………だから、」

 あの男は、本人が決定したことにおそらく意見を挟んだりしないだろう。
 だから。

「ほんの少しだけ、…引き留めて欲しかったのかも知れないな」

 未練があるのは確かだった。
 4年間、ずっとこのチームで走ってきた。
 エーリッヒ達よりも一年早くここに入り、一軍にまでのし上がった。
 エーリッヒとシュミットが入ってきて、一軍は大きく揺れた。変わった。その中で、一軍に残れた
 旧時代のメンバーは、リーダーであったザックスだけだった。
 くやしくなかったわけではない。
 だが。
 …シュミット達になら。
 託せると思った。自分が育ってきたこのチームを。
 廃れさせることはないだろうと確信があった。
 大丈夫。
 彼らなら。
 アイゼンヴォルフは、負けない。

「引き留めて欲しいのは、ミニ四駆に未練があるからじゃないんですか。どうして、そんな簡単に…!」

 簡単に、止められると言うのだ。
 エーリッヒにしては珍しく、声を荒げる。

「ベルリンにいられなくなるなら、ミュンヘンのチームに入ればいいじゃないですか!
 ゴルトレーヴェなら、一段落付いた後に入ればまたミニ四駆をつ「エーリッヒ!!」

 突然肩を掴まれて壁に叩きつけられ、エーリッヒは息を詰まらせた。
 剣呑な黒い瞳が、エーリッヒを睥睨している。
 エーリッヒは咳き込むことすら忘れて、息を呑んだ。

「お前、俺にアイゼンヴォルフ以外で走れって言うのか」

 低い声。いつものザックスとかけ離れた、殺気すら帯びた声。
 ゾクリと、エーリッヒの背筋に冷たいものが走る。
 ザックスはアイゼンヴォルフの一員ということに誇りを持っていた。

「今更他のチームで走るくらいなら、ミニ四駆を止めた方がマシだ。
 俺はアイゼンヴォルフのザックス・フリードリヒだ」
「す、みません…っ…」

 息が上手くつけなくて、エーリッヒは切れ切れにそう言った。空気が上手く肺に入らない。
 心拍数が上がる。それは、極度の恐怖による緊張と似ていた。
 数秒間、淡青の瞳を睨み付けていたザックスは、やがてエーリッヒからゆっくりと視線と手を外した。
 エーリッヒは瞬きもできずにザックスを見ていた。
 ザックスは、何も言わず、一度もエーリッヒを振り返らずに廊下の向こうへと歩いていった。







2「1996年6月3日(月・祝[精霊降臨祭月曜])   ドイツ・ベルリン(雨) 11:26」

「WGPが開催されるそうですね」

 ミーティングで渡された、今後のレース予定表をパラパラと捲りながら、エーリッヒは
 紅茶で一息付いているシュミットに言った。
 エーリッヒの淹れた紅茶でリラックスしていたシュミットは、その声に顔をあげる。

「WGP? 世界グランプリか、あの?」
「そうです、あれですよ」

 相変わらず紙の上へ視線を走らせながら、エーリッヒは答える。その口元には、
 微かに笑みが浮かんでいた。
 2、3年前から案だけは出ていた。ミニ四駆の世界大会。オリンピックのように、
 世界中の子供達をミニ四駆で繋げたら。そんな、まるで夢のような企画。

「開催の目途が立ったのか。どうやら上の連中もそう能無しばかりではなかったようだな」

 声音が嬉しそうに弾んでいる。
 シュミットはエーリッヒ以外の前では、こんなに素直に感情を表出させたりはしない。

「アメリカにロシアに、オーストラリア、北欧…、イタリアも参加を表明してくるだろうな」

 口にこそ出さなかったが、シュミットは顔に面白くなりそうだ、とはっきり書いていた。
 エーリッヒも、強豪達と戦えるのが嬉しくて仕方ないようだった。

「開催地は、第一候補としてはアメリカだそうですよ」
「妥当な線だろうな」

 アトランティックカップや、多くの大会が開かれているアメリカなら、施設はかなり整っていると言える。

「問題は開催時期ですが…、ヨーロッパグランプリと日程が被る可能性があります」

 ヨーロッパグランプリは、10月に予選が始まり、本戦は1月から4月の20日前後まである。
 WGP開催期は1年間なので、何月から始まったとしても、ヨーロッパのレースと被るだろう。

「ああ。しかし、今年のヨーロッパGP自体が成り立たない可能性だってあるわけだろう?
 皆WGPの方に行ってしまって」
「そうですね」

 くすり、とエーリッヒは笑った。
 ここ数年の行事ではあるが、ヨーロッパグランプリが出場者不足で中止になるというのは
 とても滑稽だと思った。

「でも、…僕達がWGPに出場するというので、ヨーロッパGPの参加者が増えるかもしれませんよ?
 アイゼンヴォルフがいない今が、優勝するチャンスだ、って」

 エーリッヒの発言に、シュミットは一瞬驚いたような顔をした。だが、すぐにいつもの、自信満々の笑みを浮かべる。

「そうだな。その可能性もある…」

 満足げにソファに身を沈めたシュミットを微笑みながら見つめて、エーリッヒは言った。

「どちらにしろ、今は推測の域を出ませんし、オーナー達のオーダーもわかりませんけれど。
 何が起こっても大丈夫なように、用意だけは万全にしておきますから」

 ゆっくりと身を起こし、シュミットは親友を紫の瞳におさめた。

「頼もしいな」
「誰に言ってるんですか?」

 ふ、とエーリッヒも自信ありげな笑みを浮かべる。
 シュミットは大袈裟に肩を竦める真似をして見せた。
 言葉はなかったが、それですべては了解のいくことだった。シュミットはエーリッヒに対して無言の信頼を寄せ、
 またエーリッヒもシュミットに同じものを寄せている。相手は自分をけして裏切らないし、失望もさせない。
 二人の関係が壊れない、最大理由の不可侵領域。
 紅茶を口に含みながら、シュミットはちらりと視線をテーブルの上に移した。
 つい先ほどまで行われていた、上層部連中とのミーティングで渡されたのは紙の資料ばかりではない。
 カップをおいて、アイゼンヴォルフのマークが印された硬質なボックスを引き寄せる。白い指でロックを
 外して蓋を開けると、赤い布に優しく乗せられるように、5つの、切手大のチップが入っていた。

「WGPは、こいつのお披露目というところか」

 GPチップ。これを積んで走ることにより、マシンはレースの経験を積んで自分で判断をするようになっていく。
 自分の相棒…友達としての色彩が、ますます濃くなっていく。
 エーリッヒは、シュミットが一枚のチップをボックスから取りだして眺めるのを見ながら、

「マシンを改良しなければなりませんね」

 言った。

「改良、ね」

 一瞬、二人の間を沈黙が支配した。
 窓から入り込んでくる緩やかな光で、GPチップが鈍く輝いていた。
 アメリカが開催地になれば、勿論NAアストロレンジャーズは出てくる。
 それに、他の国からも一筋縄ではいかない強豪達が。
 ならば、

「「いっそ新しいマシンを作ってはどうか」と思うのですが」

 全く同じタイミングで重なった声に、シュミットとエーリッヒは顔を見合わせて、吹き出した。

「エーリッヒ。私の真似をするな」
「貴方こそ」

 笑いをおさめきれず、笑ったままで二人は言い合った。

「いいな。創造(つく)ろう、アイゼンヴォルフを世界最強にするマシンを。私と──お前とで」

 エーリッヒは、幾度か瞬きをした。

「貴方と、僕と…、二人だけで、ですか?」
「不服か?」
「いえ、そうではないんですけど」

 大人の手を借りず、自分達だけで。
 エーリッヒは、心臓が高鳴るのを感じた。昔から、彼は機械いじりが大好きだ。
 鼓動を治めるように、エーリッヒは言った。

「世界最強に。それは良いのですが。…シュミット、ザックスのことは…、お聞き及びですよね?」

 ピクリと、シュミットの手が動く。
 GPチップをボックスに戻しながら、シュミットは、ああ、と言った。
 ザックスがチームから抜けるのは、はっきりキツい。2軍のトップを代わりのbTとして据えたとしても、
 チームのレベルダウンは目に見えていた。
 シュミットは、冷めかけた紅茶のカップを一瞥した。

「大丈夫だ。私に一人、あてがある」
「あて…?」

 シュミットの目は、すでにこの部屋にはなかった。
 南方にある窓の外を、その向こうを、シュミットは睥睨していた。

「…シュミット?」

 親友の声で、シュミットは我に返った。
 ふ、と息を吐いて、不審の混じった視線を投げかけてくるエーリッヒに笑いかける。

「昼食を取って、記念劇でも見に行くか、エーリッヒ」

 エーリッヒもにこりとして、窓の外を見た。

「そうですね。…でも、雨ですよ」

 重い鉛色の雲が、一昨日からゆっくり、雨を振らせていた。激しくないその雨は、
 だからこそ長く降り続いていた。

「見れば判る。だが、…私が今日はもう宿舎にいたくない。だから出掛けようと言っているんだが?」

 流石はシュミット…。エーリッヒは心の中でそう呟いて、溜め息をついた。

「出掛けましょうか、シュミット」



 「Veranlassung」の最初のAは本当はウムラオト。
 「Veranderung」(変化)+「Veranlassung」(きっかけ)のSOSの造語です。
 この話が私のシュミエリ観、アイゼン観の根底です。多分。


モドル