階段を上がって、6-Cの前まで来た二人。
 なるほど教室の蛍光灯は明々としている。
 ドアを細めに開け、中を覗き見るエッジ。

ブレット「エッジ」

 エッジのあまり感心できない行いに、
 ブレットが注意しようとした瞬間。

FOX3「そこにいるのは誰だァっ!!!」

エッジ「??!」

 シュビィィィ!!!!
 ドオォォンッ!!!!


エッジ「うっわぁあああっ!!!!」

 まばゆいばかりの閃光がエッジの虹彩に
 その姿を刻み付けた瞬間、
 激しい衝撃がエッジを襲った。
 なす術なく吹き飛ばされ、廊下の壁に強かに
 背を打ちつけるエッジ。

ブレット「エッジ! 大丈夫か?!」

エッジ「いてて…。お…、俺は大丈夫だけど…」

 もうもうと埃煙を巻き上げる、
 無残に破壊された教室のドアを見やる。

ブレット「………」

エッジ「………」

FOX4「馬鹿、ウォビック! 不用意にソレ撃つなって言っただろっ;;;」

FOX3「…すまん、身体が勝手に…」

FOX4「身体が勝手に、じゃないって!
     俺も連帯責任で怒られるんだぞっ!」


FOX3「文句なら、ドア付近の不審人物に言ってくれよ…」

FOX4「不審人物ぅ…?」

 のっそりと移動するFOX4。
 ちなみにVovik、はVladimir、の愛称である。
 読み方があっているかの保障は、ない(最低)。

FOX4「…ブレットと、エッジ…?」

 破砕されたドアから半身を乗り出すようにして
 二人の姿を確認したFOX4は、明らかに不審を示して
 眉間に皺を寄せる。

ブレット「いやいやそんな顔をしないでくれたまえアントーシャ。
     拙者どもは怪しきものではござらぬ」


エッジ「怪しいよ!!!

FOX3「おぬし…できるな…」

ブレット「貴殿こそ…」

FOX4「…翻訳してもらえると助かる」

エッジ「俺にもさっぱりお手上げだぜ」

 肩を竦めて見せるエッジ。
 睨め合ったまま時間を過ごすブレットとFOX3。
 びっくりするほど怪しい。

エッジ「リーダー…」

FOX4「ウォビック…」

エッジ「…ん?」

 ふと、しりもちをついていたエッジは、
 自分の手の辺りに何か細かいものがこぼれている事に気づく。

エッジ「……なんだ、これ…?」

 ひょいと一つまみ取って、顔を近づけてみる。
 どうやら、砂のようだ。
 ………星の、形をした…。

エッジ「って、リィイイダアアァアアッ!!!!;;;;」

ブレット「どうしたでござるエッジ。騒々しい」

エッジ「もうJAPANESE☆SAMURAIゴッコはいいよっ;;
    そんなことより、これこれっ!」


 指先についた砂を、ブレットの眼前に突きつけるエッジ。

ブレット「むぅ…星の砂だな」

エッジ「「だな」、じゃないって!!
     瓶、割れちまったってことだろ??!」

ブレット「そうだな…」

 言いながら、ポケットを探ってみるブレット。
 指先に触れた、硬質な何かを取り出す。
 それは、小さな瓶だった。
 コルク栓がきっちりと締まった、
 ……無傷の。

エッジ「…なんでぇえ???!
    ってか、今気づいたけど、吹っ飛ばされたの俺だけなのに
    なんでリーダーの持ってた瓶の、しかも中身だけ
    ここにぶちまけられてんの…??!」


FOX3「それは間違いなく、プラズマの仕業だな

ブレット「ああ、間違いないな

エッジ「違うから!」

FOX4「…君も大変なんだな…」

 ツッコミ役を一手に引き受けているエッジに、
 ちょっと同情の目を向けるアントン・ワジレビッチ・ロジコフ。

エッジ「ったく…どうすんだよリーダー。
    交換するものがなくなっちゃったんじゃ、
    手詰まりじゃねーか…」


ブレット「そうだな。
     仕方ない…大人しく引き返すか」


FOX4「何の話だ?」

ブレット「いや、気にしないでくれ」

FOX3「むっ、宇宙電波受信!!

ブレット「チャネリングモーーード、オン!!

エッジ「やめろっつーのっ!!!
    これ以上人間から遠ざかってどうするんだよ、
    リーダー!!!」


FOX4「(なにげにヒドイなエッジも…)」

エッジ「ったく…帰るんだろ? 帰るんだよな? 帰るぜっ!?」

ブレット「せっかちなやつだ…解った解った。
     じゃ、ここの後片付けは任せたぜ?」

FOX4「へ?」

 ブレット&エッジ、脱兎。

FOX4「あ〜〜〜〜〜〜ッ、やられた…ッ!!!!」

 見事な責任逃れだった。



FOX3「惑星へちょら、惑星へちょら、応答願います。
     こちらチキュウ………」




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