食堂横手の、表へと繋がる出入り口から外へ出て、
 練習場へと脚を運ぶ二人。
 ちなみに宿舎と練習場とは繋がっているが、食堂からだと外へ出て
 表側の入り口に回る方が早い。

 ドアを開けると、一組の男女がなにやら喋りながら
 マシンセッティングに明け暮れていた。

カイ「駄目ですよジュリアナ、
   それではコーナーバランスが悪すぎます」

ジュリアナ「だって、さっきからちっともタイムが上がらないんだよ!
       ちょっとくらいバランス悪くしなきゃ、速くなれないよ!」

カイ「焦っては駄目です、ジュリアナ。
   焦りは必ず失敗を呼びます」


ジュリアナ「だって、だってコーチ…!」

カイ「結果は簡単には出ません。でも、じっくりやっていけば
   必ず良い結果は訪れます」


ジュリアナ「コーチ…」

カイ「時間はありませんが、…でも、「完全なる勝利」と同じように、
   優勝という結果も、そんなに近くにあるものではない。
   だからこそ、ゆっくりと歩いていく必要があると僕は思います」


ジュリアナ「はいっ!」

ブレット「バレーボールの練習だったようだな」

エッジ「どこをどう見てそう言うんだあんたは!!」


ジュリアナ「あれ? ブレットとエッジじゃないか。いつからいたんだ?」

ブレット「「行くわよ!ヒロ●!」 あたりからだ」

エッジ「誰もそんな台詞言ってねぇ!! ていうか●ロミって誰だ!!?」


カイ「●蝶婦人というわけですか」

エッジ「通じるなっっ!!」

ジュリアナ「お腸●人って誰だ?」

ブレット「それはプルーン入りの健康飲料のことだ!」

エッジ「なんで漢字通じてるんだぁああッッッ!!」

ブレット「エッジ、クールに…」

エッジ「行けるかああァ!!

カイ「来週の30秒クッキングは「ふろふきブレット」です。
   昆布とともにじっくりと煮たブレットに、
   こくのあるジュリアナをのせて、
   ゆずとエッジで香りを添えるのがポイントです。
   お楽しみに」


エッジ「いきなり次回予告とかしてんじゃねぇっ!!」


ジュリアナ「なんで余計な味付けをするんだ?
       生のままが一番美味しいんだぞ!」

 ……………。

 ちょっと、ずれた。

ブレット「…落ち着いたな?」

エッジ「…うん」

カイ「それで、何をしに来たのですか、貴方たちは?
   練習走行ですか?」

 ちなみに今はフリータイム。
 どのチームのメンバーが練習コースを使っても良いという時間。

ブレット「いや、そうじゃない。俺たちは、この…」

 …………。

ブレット「あれ?」

エッジ「…リーダー…?」

ジュリアナ「なんなんだい、いったい?」

 二人に近づいてくるジュリアナ。
 と。

 バキッ。

エッジ「………ばき?」

 プラスチックが壊れたような、不吉な音。

ジュリアナ「…なんだいこれ?」

 ジュリアナがインラインローラーをどけてみると、
 そこには無残にも粉微塵となった電気ネズミが。

エッジ「ああァああああ●カチュウ〜〜〜〜〜〜!!!!!!

ブレット「そんなにピカチ●ウが好きだったのかお前…!」

エッジ「違わぁっ!」

カイ「あの…すみません、これ大切なものだったのですか…?」

ジュリアナ「なんでコーチが謝るのさ。謝らなきゃいけないのはあたしだ。
       …ごめん、なさい」


ブレット「いや…どうせ貰い物だし、気にするな」

カイ「貰い物だと言うなら、なおさら…、これを貴方に送った人の
   気持ちが…」


エッジ「うん、大丈夫。そいつ、ピ●チュウより●ツボット派だったから」

カイ「…はぁ;;」

ブレット「故意に壊したんじゃないんだ、責めたってしょうがない。
     …帰るか、エッジ」


エッジ「…ふあ〜い…(確実にキレ損だよな俺って…)」



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