階段を降り、2階の廊下へと降りてきた二人。
 ブレットの手にはしっかりと角砂糖の袋が。

エッジ「こーいう時ってさ…」

ブレット「何だ?」

エッジ「いや、そこの、階段と廊下を繋ぐ曲がり角あるだろ?
    あそこで誰かとぶつかってさ、砂糖をばらばらっと…」


ブレット「そんなドジをするか」

 どんっ!!!

ブレット「うわ…!」

エッジ「…え?」

 …階段と廊下を繋ぐ曲がり角で、
 エッジの方を見ていたブレットが誰かとぶつかった。

エッジ「砂糖…っ! 砂糖は??!」

 自分の下手な予想をこれ以上現実にしまいと、
 砂糖の袋をブレットの手の上に探すエッジ。
 …だが、そこには砂糖の袋はない。

エッジ「マズイ、床か???!!」

 床にも、砂糖は…ない。

エッジ「じゃぁどこいっちゃったんだよ??!」

タムタム「あいててて、ゴメン、大丈夫?」

ブレット「いや、こちらこそすまない。前方不注意だった」


タムタム「ケガしてない?」

ブレット「俺は大丈夫だ、お前は?」

タムタム「全然大丈夫! 心配ない!」

ブレット「そいつは不幸中の幸いだ」

エッジ「リーダー!! 砂糖どこやったんだよ??!!」

ブレット「…ああ、そういえば」

タムタム「ええ、何かなくした?! 大変、探す!!」

 慌てて床に這い蹲るタムタム。

タムタム「ないないないない、なーーーい!!!!」

 ちょろちょろと廊下を探し回ってから
 ばっ、と顔を上げるタムタム。

タムタム「…で、落としたものって何?」

エッジ「聞いてから探せよ…」

ブレット「角砂糖の入った袋だ」

タムタム「砂糖?」

ブレット「そうだ」

タムタム「…あれのこと?」

エッジ「…アレ?」

 おそるおそるとエッジが後ろを振り向いてみると、
 半分開いた窓のでっぱりに、逆さまになった砂糖の袋が。

エッジ「あーーー!!!」

 砂糖の袋を取り上げるが、中には一個の砂糖も
 残ってはいない。

ブレット「…と、いうことは、砂糖は窓の外に落ちたという訳か…」

 窓を完全に開く。
 と、白煙が窓から入ってきた。

エッジ「うわっ、ゴホ、ゴホッ…何やってんだよブレット!」

タムタム「ゴホゴホ…」

ブレット「いや、すまない」

 窓から外を見ると、落ち葉の中に焚き火が一つ。
 そしてその傍に立っているのは。

ブレット「Mr.テッシン?」

エッジ「へ? あの変爺さん?」

タムタム「行ってみようよ!」

 階段を駆け下り、事件現場の真下へと急行する3人。

エッジ「うわ、ホントだ!!」

ブレット「Mr.テッシン。何をやっているんです?」

鉄心「なにって、決まっとろーが。焼き芋じゃ、焼き芋」


エッジ「や、焼き芋…」

タムタム「ここに砂糖落ちてこなかった?」

鉄心「おぉ、あれはおまぃさんがたの仕業か。落ちてきたぞー」

ブレット「大丈夫でしたか?」

鉄心「ああ、アレはゼーんぶ焚き火の中に落ちたからのぅ。
   心配は無用じゃわい」


エッジ「なら、不幸中の幸いだけどさ…」

鉄心「もぅそろそろええ頃合じゃな。どれどれ…」

 焚き火の中から、芋を掘り出す。
 ほこほこした焼き芋が出てきた。

タムタム「うわぁ、いい匂い!」

 ふたつに割って、頬張ってみる鉄心。

鉄心「おぉ、おまぃさんらが落とした砂糖のせいで、
   ええ味に仕上がっとるわい」


エッジ「…ちょっと甘すぎんじゃないの?」

鉄心「おまぃらにもやろう。ほれ」

ブレット「…Thanks」

 ブレット焼き芋を手に入れた!

エッジ「あっちぃっ!」

タムタム「ありがとー!!! うわぁ美味しそうっ!」

 早速食べ始めるタムタム。

ブレット「まぁ、こいつは砂糖と交換ということでいいだろう」

エッジ「だな♪ じゃ、次いこっか」

ブレット「ああ」

鉄心「おまぃら、わしの作った焼き芋が食えんというのか?」

エッジ「そういうわけじゃなくて…」

鉄心「ほんなら食え。今食え」

ブレット「………仕方がない」

 焼き芋を頬張るブレットとエッジ。
 わがまま爺さんには逆らえなかった。


タムタム「ここって俺じゃなくても良かった気がするねっ☆」



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