風のようにアイテムを浚って逃げた
 チイコを追いかけていった藤吉を、
 さらに追いかけて三国家の庭へと走り出た3人。

ブレット「どこだ?」

烈「あ、あそこだ!!」

 プールサイドに、4人の人影を認める烈。

エッジ「なんか、多くない?」

ブレット「とにかく、行ってみるぞ!」

 3人が近づいてみると、人影は間違いなく
 探していた人物だった。

藤吉「チイコ! わてらから取ったものを返すでげす!」

チイコ「いやですわ! 烈さまがうつってらっしゃるんですもの!」

藤吉「お前がやったのはりっぱな泥棒でげす!
   わてが手に入れるはずだったカードはあげるから、
   せめてブレット君のビデオは返すでげす!!」


チイコ「いやですわ〜!!」

彦佐「チイコお嬢様、藤吉ぼっちゃまの言われるとおりでございます、ハイ。
    それらの持ち物を、ぼっちゃまにお返しするでございますです、ハイ」

チイコ「いやですわ! マキさん、臨戦態勢ですわ!」

マキ「はい、お嬢様!」

 彦佐とマキ、二人の間を血なまぐさい風が吹きぬけた。
 調理場から換気扇を通ってきた風だ。
 今夜のおかずはお刺身だ。

エッジ「邪魔しちゃいけない気がしない? リーダー」

ブレット「…そうだな…」

烈「諦めるの?」

ブレット「むぅ…」

 戦闘を開始した彦佐とマキ。

彦佐「はぁああああ!!! でございますです、ハイイィィィ!!」

マキ「あ ま い わ あ あ あ あ!!!!!!」

エッジ「なぁちょっ…なんか波●拳みたいなの出てるんだけどっ;;;」

ブレット「これは…近づくと命に関わるかもしれないな」

烈「…二人は何か出せないの?」

ブレット「何か? 内臓とかか?

エッジ「出すなよ!!!?」

烈「それはそれで愉快だけど、ああいう技だよ」

エッジ「出せる訳ないだろ? 俺たち生身の人間だぜ?」

ブレット「出そうと思えば…」

エッジ「出せんのっ!??!!!?」

ブレット「天から落ちる光が地上を貫く」

エッジ「ラ●ュタっ??!!!」

烈「へぇ。NASAの特待生は伊達じゃないってわけか…」

エッジ「おい…レツ・セイバ?;;;」

烈「まぁ、今は見てるのが正しいかもね。
  あの二人の真剣勝負を邪魔して、無事にいられた人って
  いないらしいし」


エッジ「コエーーー…;;;」

 ばっしゃーーーん!!!

藤吉「ひええええ!!!」

チイコ「おにいさまのおばかーーですわ!!!
    おにいさまなんか、チイコにはいりませんですわ!!」

藤吉「馬鹿なこと言ってないで、助けるでげすーーーー!!」

 …どうやら、藤吉とチイコの間にも何か勝負があったらしい。

藤吉「がぼがぼがぼ…」

ブレット「アレは助けた方がいいかもしれないな」

エッジ「だよ、な?」

烈「あれはあれで見ものだと思うけど」

エッジ「(鬼…ッ!!)」

 地面が気によって凹み始めている彦佐とマキの傍を
 迂回してプールサイドに走り寄り、溺れていた藤吉を
 助けるブレットとエッジ。

藤吉「はぁっはぁっはぁっ……た、助かったでげす…。
    あ、ありがとうでげす」


ブレット「気にするな」

 プールに飛び込んだブレットはびしょ濡れ。
 藤吉を引き上げたエッジも適当に濡れ。
 ただ見ていた烈は乾いている。

エッジ「お前も意外と大変な妹持ってるんだな」

藤吉「チイコにも、そんなに悪気はないでげす。
    ただ、烈君のこととなると周りが見えなくなってるだけでげす」


エッジ「色男はつらいねぇレツ・セイバ?」

烈「まぁね」

藤吉「あぁ…びしょびしょでげす…。
    良かったら、お二人にもわての着替えを貸すでげすよ」


エッジ「まずサイズが合わないんじゃない?」

藤吉「心配ないでげす、フリーサイズのものがあるでげすから。
   リョウ君でも着られたでげす」


ブレット「それなら何とかなりそうだな」

烈「藤吉君の着替えって、アレでしょ?」

藤吉「そうでげすよ?」

エッジ「………アレ?」

 嫌な予感。

藤吉「持ってくるでげす〜!」

 彦佐が取り込み中(戦闘中)のため、ベジタブスリーが
 藤吉の着替えを持ってくる。
 そう、予想通り…サルの着ぐるみである。

藤吉「どれでも好きなの着ていいでげすよ?」

エッジ「これが普段着なのかよ??!」

藤吉「エッジ君はペンギンの方がいいでげすか?
   白鳥もあるでげすよ?」


エッジ「ペンギン…白鳥…!? 着ぐるみしかないワケ??!!」

ブレット「…の、ようだな」

エッジ「着るなっ!!!! 子供の日レースを棄権した男のプライドとして、
    今着るな!!!!!!!!」


烈「だよね」

ブレット「…それもそうだな」

エッジ「はぁーーーー…。帰って着替えるしかねーな…」

藤吉「ざーんねんでげすなぁ…。とにかく、チイコから取り返したら、
   ビデオはブレット君宛に送るでげす」


ブレット「いや、それには及ばないさ。チイコ・ミクニ嬢がそんなに
     ご執心だというなら、俺は構わないから彼女にやってくれ」

藤吉「でも、それじゃわての気がすまないでげすよ。せめて何か…」

ブレット「OK。なら、俺たちをWGP宿舎まで車で送ってくれないか?」

藤吉「それならお安いご用でげす♪」

烈「…帰るの?」

ブレット「ああ、最後までゴー・セイバ探しに付き合えなくてすまないが」

烈「別にいいよ。豪だって、どうせそろそろ家に帰ってるだろうし」

エッジ「おーいリーダー! 行くぜーー!!」

ブレット「ああ、すぐ行く。…じゃあな、レツ」

烈「うん、今度会うまでに何か出せるようになっておいてね

ブレット「…解った」



 →WGP宿舎アメリカチームルーム