インターナショナルスクールの廊下を徘徊中、
なにやら良いにおいが漂ってきたので、
家庭科室へとついつい脚が向かってしまう2人。
エッジ「どんな女の子が愛情たっぷりの料理を作って
俺を待っててくれるのかな〜vv」
ブレット「料理を作っているのが女子だと
決まっている訳じゃないだろう?
それに、おそらくお前のためでもない」
エッジ「いいじゃん。夢を見るのは自由だぜ?」
ブレット「まったく…」
一階の端にある家庭科室のドアを、
がらりと開けるエッジ。
エッジ「お邪魔しま〜ッス!!」
ローラン「お? いらっしゃいゼヨ」
エッジ「…………オジャマシマシタ〜」
あとずさり、ドアを閉めようとするエッジ。
ブレット「エッジ」
エッジ「………期待はずれ……っ!」
ブレット「夢と現実のギャップとは、こんなもんだ」
ローラン「何をごちゃごちゃ言ってるキニ?」
ブレット「いや、なんでもない。
ここからいいにおいがしたから、ついつい
寄ってみただけだ」
ローラン「いいにおい…? ああ、これカヤ」
ローランの前のガスコンロにかけられた鍋が、
なにやら怪しげにグツグツ煮立っている。
鍋の端から滴っている泡が蛍光グリーンをしている時点で、
すでにそれは普通の物体じゃない。
ローラン「味見してみるカヤ?」
ブレット「ああ、いただこうか」
エッジ「マジでっ???!」
ローランに、蛍光グリーンと蛍光ピンクがきれいな渦巻きを作る
スープをよそってもらうブレット。
ローラン「エッジもいるカヤ?」
エッジ「俺は…いいや…」
見るからに怪しげな液体を口にするほど、
エッジは命知らずじゃない。
ブレット「じゃあ一口…」
エッジ「………」
ブレット「……ヴ……」
ブレットの上体がぐらり、と傾ぐ。
エッジ「うわあっほら言わんこっちゃない!!」
ぎぎぎぎ、と首をローランの方に向けるブレット。
ブレット「………そいつの…原材料を聞いてもいいか…」
ローラン「ポポジュンプ」
ブレット「そのネタ…まだ引きずってたのか……無念…」
がくり。
エッジ「リィィーーーーダァァァァーーーーーッッ!!!!!」
閑散とした家庭科室に響き渡るエッジの慟哭。
静かに、安らかに瞼を下ろしたブレット。
その様子を冷静に見つめるローラン。
グツグツと煮え立つポポジュンプ。
運命とはいつも、かくも冷酷なものである。
エッジ「俺…俺、リーダーのこと忘れないから…!!
リーダーは立派で変態な面白い人だったよ…!!」
ブレット「……まだ死んでない…殺すな…!」
エッジ「…あ、生きてたの」
ブレットは缶コーヒー(無糖)を開けて、中身を煽った。
そうして、やっと一息つく。
ブレット「…死ぬかと思った…」
エッジ「まずアレを食おうというのが間違ってるんだよ」
ローラン「ちなみに焼きジュンプもあるゼヨ」
ブレット「………」
ガスコンロの片隅に、
蛍光パープルの煙を上げるフライパンが。
エッジ「………エンリョシトキマス」
ローラン「そうカヤ。残念ゼヨ」
エッジ「…帰ろうぜリーダー。何か気分悪くなってきた…」
ブレット「ああ、俺もそれに賛成だ…」
ローラン「また食べに来るゼヨ。いつでも大歓迎ゾナモシ」
ブレット「ああ……また今度な………」
もう二度とポポジュンプは口にしない、と
ブレットは固く心に誓った。
エッジ「っていうか、そんな材料手に入らないから!!!」
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