階段を3階まで上り、
 図書館の前まで来た2人。
 ふと、中から人の話し声が聞こえてくることに気づく。

?「ちょっ…何考えてるんですか、こんなところで!
  人が来たら…!」


?「今日は休日だし、他の図書委員たちは帰った。
  もう誰も来ないさ」


?「やめっ…!」

?「いつもながら往生際が悪いぞ、エーリッヒ?」


 …………。


エッジ「リーダー。何も聞かなかったことにして、
     このまま引き返すことをオススメします。強く

ブレット「踏み込んでみるのも一興だと思わないか?」

エッジ「………ヤダ…;;」

ブレット「というわけでオジャマシマス」

エッジ「うわああっ!!;;」

 ガチャリ☆

エーリッヒ「うわあああっ!!!///;;;」

シュミット「ッ、ブレット! 貴様…!」

ブレット「よう、奇遇だなシュミット♪」

シュミット「絶対わざとだッ!!」

 大当たり。

ブレット「相変わらず色欲魔人だな、お前」

シュミット「変態大王の貴様には言われたくないな!」

ブレット「ハハハハ。クールにいこうぜシュミット」

シュミット「黙れ下民。さっさと失せろ」

 お楽しみを邪魔されて、シュミットはかなりご立腹の様子。
 ブレットはお決まりの、肩を竦めるリアクションをして見せた。

ブレット「そんなに心配しなくても、用が済んだら出て行くさ」

エーリッヒ「……出来れば出て行って欲しくないんですけど…;;;」

シュミット「一体何の用件だ、さっさと言え」

ブレット「なに、こいつと何かを交換してもらいたいだけさ」

 ポケットから、星の砂の入った瓶を取り出す。
 シュミットは眉間に皺を寄せた。

シュミット「何の遊びだ、下らない」

ブレット「高尚なお前には理解できない、通俗的遊びさ」

 ふん、と鼻を鳴らすシュミット。

シュミット「そんなことで私とエーリッヒの時間を邪魔したのか?」

ブレット「根に持つなよ。偶然だろ?」

シュミット「そんな陳腐な言い訳、信じると思うのか?」

ブレット「言い訳も何も。俺は真実しか口にしないぜ?」

シュミット「それこそ虚偽というものだな」

 言葉でじゃれあう二人に、完全に置いてけぼりされている他二人。

エーリッヒ「…なんだかんだ言って、楽しそうなんですよね」

エッジ「そうなんだよなぁ。なんか、ホント悪友ってカンジ」

エーリッヒ「………」

 ふいと、エーリッヒは司書室の方に入っていく。

エッジ「ん? エーリッヒ?」

 すぐに戻ってくる。その手には、1本の缶コーヒー(無糖)が。

 缶を机に置く、コツン、という音が、シュミットとブレットに
 際限のない言い合いを止めさせる。

エーリッヒ「交換をお望みなんでしょう?」

 にこりと笑う、その笑顔にはどこか、威圧感じみたものがあった。

ブレット「あ…ああ」

エーリッヒ「これではお気に召しませんか?」

シュミット「エーリッヒ。それは、仕事が終わったら一緒に飲もうと…」

エーリッヒ「また買ってきていただけるんでしょう?」

 …有無を言わさぬ。
 今のエーリッヒには、逆らわない方が…いい。

シュミット「………ハイ」

エーリッヒ「ご用事が済んだのなら、どうぞ」

 言って、丁寧に図書館の出口となるドアを、腕と手を綺麗に
 差し伸べて示す。

エッジ「い、行こうぜリーダー!」

ブレット「ああ、じゃぁ、こいつは貰っていくぜ?」

エーリッヒ「どうぞ」

 ブレットエーリッヒシュミット)の缶コーヒー(無糖)
 星の砂を交換した!


 図書室を出る前に、ブレットはドアの前で立ち止まる。

ブレット「まったく、……ヤキモチ焼きだな、エーリッヒは」

エーリッヒ「なっ……??!///」

ブレット「ハハハハ。じゃ、ごゆっくりお楽しみを、だな。シュミット♪」

シュミット「失せろ下劣ハゲチャビン!!!」

エーリッヒ「はげちゃびん??!!!」

エッジ「………リーダー…?」

ブレット「心配するな、多分先にハゲるのはあっちの方だ」

シュミット「黙れっ!! 不吉なことをっっ!!!」

エッジ「(でも…自分がハゲる可能性は否定しないんだな…二人とも…)」


ブレット「さて、と。どこへ行くかな。」



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