缶コーヒーを軽く放り投げながら、
 校舎から外へと出た二人。
 空は青く晴れ渡り、眩しいほどの陽光が
 乾いた校庭に鮮やかに照りかえる。

エッジ「いーい天気だねぇ」

ブレット「そうだな」

エッジ「ん? あれは…」

 校庭の片隅に、灰色のエリンギを発見。

エッジ「あんなところにもきのこって生えるんだな」

ブレット「そうだな」

エッジ「…ちょっとドキドキ?」

 近づいてみるエッジ。
 と、突然振り返るエリンギ。

エッジ「ぅわっ??!!」

バーニー「ん? エッジカヤ?」

エッジ「…バーニー…;;;」

 エリンギ≒バーニー。
 シイタケ≒ローラン。
 輝けるきのこ王国オーストラリア。

 …オーストラリアは連邦、だ。

ブレット「何をやってるんだ、こんなところで?」

バーニー「鶏小屋の壁に色を塗ってるんだゼヨ。
      俺、クラスの飼育係で、先生に頼まれたキニ」

ブレット「そういえば、お前の趣味はウォールペインティング
     だったか」


バーニー「そうゼヨ♪ 日本に来てからはなかなか
      大きなものを塗る機会がなかったから、
      今すごく楽しいキニ」

 目をきらきら輝かせるバーニー。

エッジ「いいね。楽しそうだ」

バーニー「エッジもやってみるカヤ?」

エッジ「えっ俺っ!? …いいよ、せっかくゲージュツ的に
    出来上がってんのに、おかしなことできねぇし」


バーニー「落書きのつもりでやればいいんゼヨ。
      何描いてもいいキニ」


ブレット「バーニーもああ言ってることだし、
     何か描いてみたらどうだ、エッジ?」


エッジ「んー…そうね」

 バーニーからスプレー缶等々を借り受けるエッジ。

エッジ「ほんじゃ、ちょいちょいと」

 そう言ってエッジが鶏小屋の側面に描いたのは、
 アストロレンジャーズのユニフォームの右胸に
 燦然と輝くマークだった。

エッジ「やっぱ、これしかないっしょ☆」

ブレット「バランスよく書けたじゃないか」

エッジ「まぁねー」

バーニー「どうせだったら、ロケットの方描けばいいのに…
      なんで☆だけなのカヤ…;;」


 鶏小屋の側面には、でっかい黄色い☆がペイントされた。

エッジ「俺たちの夢だよん♪」

バーニー「ならますますロケットの方が
      良かったんじゃないカヤ…?」


エッジ「だって、ロケット上手く描く自信ないしねぇ」

 ちょっとだけ照れ笑いするエッジ。
 意外と控えめ。

ブレット「ところで、バーニー。今日はいい天気だ、
     喉が渇かないか?」


バーニー「ん? そりゃ、渇いてるけど…?」

ブレット「こいつと何かを交換しないか?」

 缶コーヒーを取り出す。

バーニー「無糖カヤ…苦手なんゾナ…」

 言いながら、何か交換するものはないかと
 探してみるバーニー。

バーニー「んん…、ああ、これでどうカヤ?」

 バーニーが取り出したのは、小さなカモノハシの
 ぬいぐるみ
だった。

ブレット「オーストラリア特産品だな」

バーニー「そうゼヨ。オーストラリアにしかいないキニ」

ブレット「それならバッチリだ、交換しよう」

 ブレットバーニーカモノハシのぬいぐるみ缶コーヒー(無糖)
 交換した!

バーニー「サンキューゼヨ」

ブレット「こっちこそ助かった、礼を言う」

 早速缶を開けて一口飲み、ちょっと顔を顰めるバーニー。

バーニー「…やっぱり、ちょっと苦いゼヨ」

ブレット「まぁ、それが大人の味ってヤツさ」

バーニー「……ちょっと格好つけすぎゼヨ」

エッジ「ハハハ。言われてやんの、リーダー」

ブレット「うるさい。そろそろ行くぞ」

エッジ「へいへい」

バーニー「グッドラックゼヨ!」

ブレット「Thanks! いい鶏小屋が出来ることを期待している!」

 ぐっ、と親指を立て、バーニーは二人を見送る。

バーニー「さて、と…」

 後日、鶏小屋の大きな星の右隅に、小さなロケットが描かれているのを、
 エッジは発見することになる。



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