宿舎からインターナショナルスクール前を通り、
 風鈴商店街へと足を運んだ2人。
 WGP開催中だからか、外国人のすがたもちらほらとしている。

エッジ「やっぱにぎやかなとこはいいねぇ。
    俺、静かなとこよりもこーいうところの方が好きだな♪」


ブレット「煩すぎるのもどうかと思うがな」

エッジ「あ、リーダー、あそこ!」

 エッジが指差した先には、
 見覚えのあるドイツチームのレーサーがいた。
 向こうも二人に気がついたらしく、軽く笑いかけてくる。

ブレット「エッジ、人を指差すな」

ヘスラー「やあ」

エッジ「Hi☆」

ヘスラー「買い物か?」

ブレット「いいや、ただの散歩だ」

エッジ「そーいうあんたは?」

ヘスラー「買い物だ」

 パン屋の袋をちょっと持ち上げてみせるヘスラー。

ヘスラー「フランスのパンは良く売ってる、
      ドイツ製はなかなかない」

ブレット「そうだな、あまり見かけない」

ヘスラー「日本人の口にはあまり合わないのかもな。
      …ミハエルの口に合うパンを見つけるのは大変だ」


エッジ「あんたも大変だねぇ」

ヘスラー「ハハハ…エーリッヒほどじゃないさ」

 ……可哀想だな、エーリッヒ………。

ブレット「ところで、ヘスラー」

ヘスラー「なんだ?」

ブレット「梵天とかに興味はないか?」

ヘスラー「梵天? …梵天とは、何だ?」

ブレット「こういうものだ」

 ポケットから梵天を取り出してみせるブレット。

ヘスラー「どこかで見たことがあるような…」

エッジ「まぁなぁ」

ブレット「どうだ、こいつと何かを交換しないか?」

ヘスラー「…この物体とか?」

ブレット「ああ、そうだ」

ヘスラー「…正体が全くわからないな…」

エッジ「(知ったら知ったでびっくりだよな)」

ブレット「どうする」

ヘスラー「すごく気になる…」

ブレット「交換はなんでも構わないぞ」


ヘスラー「ちょっと待ってくれ」

エッジ「(リーダーって詐欺師に向いてるよな…)」

ヘスラー「…こいつでどうだ?」

 ヘスラーが取り出したのは、
 柄の端にたこ焼きの付いた耳かきだった。

ヘスラー「大阪観光した時の土産なんだが」

ブレット「ああ、構わないぞ」

エッジ「なんでそれ取り出してボンテンの正体に
     気づかないかなぁ…!!!」


ヘスラー「ん? 何か言ったか?」

ブレット「いいや、なんでもないさ」

 ブレットヘスラー耳かき(大阪仕様)梵天を交換した!

ヘスラー「じゃあ、俺はおやつを待ってるリーダーの元に、
      早く帰らなければならないから」


ブレット「ああ、…幸運を祈る」

ヘスラー「ハハハハ…」

エッジ「なんか虚ろな笑い声だったな…」


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