ギャアギャアと不吉に鳥が鳴き騒ぐ山道を登っていくと、
 やがて黄色い小さなテントが目の前に現れた。

エッジ「流石に道案内役がいてくれると助かるな」

烈「リョウ君いるかな…?」

 リョウの家(不許可設営)へと無断で踏み込む烈。
 外で、生活の匂いのする焚き火跡などを見ながら待っている二人。

 …5分後……

烈「どうやら、いないみたいだね」

エッジ「(……それだけを確認するのに、どうして5分もかかった…?)」

ブレット「そうか…レツ、他に心当たりは?」

烈「そうだな…この近くに、リョウ君お手製のオフロードコースが
  あるんだよね。そこかもしれない」


ブレット「よし、行ってみよう」

 茂みをひとつふたつ抜けると、突然視界が開ける。
 すぐ前が3mほどの崖になっていて、
 その場所からは、なるほど人工的に造られたオフロードコースが見渡せた。
 と、そのコースを走っている影が一つ…。

ブレット「ん? あれは…」

烈「ユーリ君??!」

 烈の声に気がついたのだろう、ふとユーリが3人を見上げた。

ユーリ「やあ、奇遇だね」

ブレット「そうだな」

烈「ねぇ、ユーリ君。豪の奴がこっちに来なかった?」

ユーリ「セイバ・ゴウ? いや…見てないな」

烈「そっか…ありがとう!」

ユーリ「ところで、ブレット」

ブレット「なんだ?」

ユーリ「君からもみじ饅頭のにおいがする…」

エッジ「???!!!!」

 ブレットとユーリの距離、直線にして6m。

ブレット「鼻がいいんだな」

ユーリ「大好物なんだ」

エッジ「(そういう問題じゃない)」

ブレット「やってもいいが、何かと交換だ」

ユーリ「なるほど…「わらしべ長者」というわけか」

エッジ「(読まれてるし!!)」

ブレット「まぁそういうことだ」

ユーリ「君の気に入るようなものがあるといいんだが…」

 そう言って、懐をまさぐりだすユーリ。

ユーリ「そうだな…エア・バッグなんてどうだい?」

ブレット「ほう、そいつは俺の大好…」

エッジ「間に合ってます!!」

 これ以上ブレットの身体にエア・バッグを増やすと、
 どこから出てくるようになるかも解らないので、
 とりあえず交換を遠まわしに断るエッジ。

ユーリ「そうか、残念だな。じゃあ…」

 何が出てくるかと、
 わくわくしているブレットと、
 ドキドキしているエッジと、
 どうでもいい烈。

ユーリ「あぁ…こんなものが出てきた」

 ユーリが取り出したのは、四角いカード…。
 それには、どこかで見覚えのある連中が描かれていた。

エッジ「…どこでそんなもの…」

ユーリ「ブレット、こいつでどうだい?」

ブレット「…そうだな、まぁいいだろう」

ユーリ「じゃあ…受け取ってくれ!」

 ユーリは、カードを手裏剣のようにブレットに向かって投げた。
 日本に来てからずっとしていた忍者の修行が、
 こんなところで役に立った。

 ざくっ。

 受け取ろうと挙げたブレットの右手に、カードが刺さった。

エッジ「うわあぁああ! リーダーーーッ;;;」

ブレット「失敗か…」

エッジ「クールすぎるぜリーダー…!!」

ブレット「じゃあ、こっちも約束のブツだ」

 負傷した右手を庇い、左手で投げるブレット(両きき)。

 ぱくっ。

 ダイレクトに口でキャッチするユーリ。

烈「もう祖国の名誉とかすっかり忘れてるよね

ユーリ「(もぐもぐ)ん? 何か言ったかい、セイバ・レツ?」

 にこりとリーダーの笑みを見せるユーリ。
 烈も負けじと得意の悩殺スマイル。

烈「ううん、なんでもない。じゃあ、僕ら豪を探さなきゃならないから、
  もう行くね」


ユーリ「ああ、君たちの行く手に幸運があらんことを」

ブレット「Thanks!」

 ブレットユーリレツゴートレーディングカード(TRFビクトリーズ)
 もみじ饅頭(抹茶)を交換した!


 烈「ここにいないとすると…あとは…」


 →風鈴川
 →三国家