取り合えず宿舎から表へと出た二人。
秋風が街頭を滑っていく。
エッジ「リーダー、いっこ聞いてもいい?」
ブレット「何だ?」
エッジ「「ワラシベチョウジャ」って何?」
ブレット「…そんなことも知らずに付いてきたのか?(呆)」
エッジ「知らないから聞いてるんじゃん」
ブレット「仕様のないやつだな。わらしべ長者というのは、神に「最初に掴んだものを
離してはいけない」というお告げを聞いた男が、最初に掴んだものをそれをほしがる
人と交換し続けて、やがて富と名声を手に入れる物語だ」
エッジ「…ふぅん。で、リーダーは…?」
ブレット「俺はこいつが何になるかを見届けたいだけだが?」
そういって、先ほど見つけた絆創膏を秋風の中に晒す。
と、そこへ…
ジム「うわあぁぁっ!! ゼヨ〜〜〜!!」
どべしっ。
突然彼方から走ってきたジムが二人の眼前でコケた。
躓きそうな石も、段差も、バナナの皮も周囲には見当たらない。
少女漫画のヒロイン並のドジッ子ぶりを発揮するジム。
ジム「い、痛いゼヨ…(泣)」
シナモン「大丈夫かや、ジム?」
ジムの天使、シナモン登場。
ジム「…大丈夫ゼヨ…」
痛みを堪え、うなずいてみるジム。
目尻に涙をためながらも、好きな子の前では
格好悪いところなんて見せられないじゃないか!(コケた時点で格好悪い)
心配そうに擦りむいたジムの膝小僧を見つめていたシナモンの視線が、
ふとブレットの持っているものに止まる…。
シナモン「…………」
ブレット「…………」
シナモン「…………」
ブレット「…………」
シナモン「…………」
ブレット「…………」
シナモン「…………」
ブレット「…………」
シナモンの無言の要請を、無下に無視し続けるブレット。
ついにシナモンは、諦めた。(黙っていることを)
シナモン「あの…よかったら、それ、くれないかや?」
ブレット「ああ、こいつか」
解ってるクセに。
ブレット「やってもいいが…こいつは何かと交換でなければならないんだ」
シナモン「…何でもいいのかや?」
ブレット「ああ」
シナモン「じゃぁ惑星へちょらで(ローランが)捕まえた不思議生命体ポポジュンプと…」
ブレット「待て」
シナモン「冗談ぜよ」
真顔で冗談を言われると怖い。
シナモンはポケットの中からキャンディー(すもも)を取り出した。
シナモン「こんなものしかないぞなもし」
ブレット「十分だ」
ブレットはシナモンのキャンディー(すもも)と絆創膏を交換した!
シナモン「ありがとうぜよ。さぁジム、もう大丈夫きに。いたいのいたいの飛んでいけー」
古風なまじないを口にしながら、ジムの傷口に絆創膏を貼り付けるシナモン。
シナモン「ね、もう大丈夫」
ジム「…うん。ありがとうゼヨ、シナモン」
シナモン「どういたしましてきに」
目の前で繰り広げられるゲロ甘ラブコメに耐えかねて、背を向けるブレットとエッジ。
エッジ「(…どうでもいいが、先にせめて傷口を洗え)」
ブレット「さて、次は何処に行こうか?」
→風鈴小学校
→インターナショナルスクール
→土屋研究所