階段を降りて、食堂へと脚を進める二人。
 食堂は一階の突き当りである。

エッジ「リーダー、いっこ聞いてもいい?」

ブレット「何だ?」

エッジ「「ワラシベチョウジャ」って何?」

ブレット「…そんなことも知らずに付いてきたのか?(呆)」

エッジ「知らないから聞いてるんじゃん」

ブレット「仕様のないやつだな。わらしべ長者というのは、神に「最初に掴んだものを
     離してはいけない」というお告げを聞いた男が、最初に掴んだものをそれをほしがる
     人と交換し続けて、やがて富と名声を手に入れる物語だ」


エッジ「…ふぅん。で、リーダーは…?」

ブレット「俺はこいつが何になるかを見届けたいだけだが?」

エッジ「富と名声には興味ないんだ?」

ブレット「そいつは簡単に手に入ったら面白くないと思わないか?」

 食堂へ入ると、ミラーが二人に気づいた。
 彼の目の前の皿には大量のナタ・デ・ココが入っていた。

ミラー「あ、リーダーとエッジ」

ブレット「ああ、ここにいたのか」

ミラー「なに、何か用か?」

ブレット「いや別に」

ミラー「……」

ブレット「……」

無言になる二人。

ブレット「そういえば、ミラー」

ミラー「何だよ?」

ブレット「左手薬指のその傷、どうしたんだ?」

エッジ「へ?」

 慌てて左手を隠すミラー。

エッジ「おい、ちょっと見せてみろよ!」

ミラー「な、なんでもねーよ!」

エッジ「うそこけ!」

 エッジが無理矢理左手を開かせてみると、
 なるほど薬指の腹に7ミリくらいの傷が。
 今さっき傷つけたものであろう、乾ききらない血が、
 うっすらと滲んでいる。

エッジ「(…なんでこんなところの傷、見ただけで判ったんだ…!)」

ブレット「どうしたんだ?」

ミラー「……」

エッジ「黙ってちゃわかんねーよ、ミラー」

ミラー「……だよ」

ブレット「ん?」

ミラー「ほうれんそう食べようと思ったら、刺さったんだよ…!」



 ………。



ブレットエッジ何が

 聞いても分からなかった。

ブレット「…まぁいい、とりあえずこれでも巻いておけ」

 絆創膏を渡すブレット。

ミラー「…Thanks。あ、じゃあかわりにこいつやるよ」

 そう言ってミラーが懐から取り出したのは、一本のボールペン。
 そのノックの所には、みまごうことなき黄色い電気ネズミが。

ブレット「…いいのか?」

ミラー「なにが」

ブレット「●カチュウがついてるぞ?」

ミラー「いいって別に。俺ピカ●ュウよりウ●ボット派だからさ」

エッジ「微ッ妙!!

ブレット「そうか…ならもらっておくぞ」

ミラー「ああ」

 ブレットミラーピカチュ●ボールペン絆創膏を交換した!

 ナタ・デ・ココはとりあえず無視して、二人は食堂を後にした。


エッジ「で、次はどこ行く?」


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